題名は、心理学者 アルフレッド・アドラー氏(アドラー
心理学)が提唱した一つのことです。
「人は誰もが同じ世界に生きているわけではない。自分が
“意味づけ”した世界に生きている。」という考えです。
高校で2年半共に寮生活を過ごし、同じ朝ごはん、
昼ごはん、晩ごはんを食べ、同じ学校に通い、同じ野球
チームで練習をしてきたA君とB君がいたとしましょう。
夏の甲子園を目指す地方大会決勝戦で、このA君B君とも
エラーをしてそれが原因で1点差で惜敗したとしましょう。
この時の経験を、A君は「恥ずべきこと、チームメンバーは
勿論のこと、家族や応援に来てくれた先輩や友達に大変
無様で恥ずかしいこと。」と考えました。それで、この
敗戦以降、野球をやめることになりました。
一方、B君は「決勝でのエラーは、まだまだ練習していき、
上を目指せる余地があることを示してくれた。」と考え、
大学での全国優勝を目指して進学していきました。
この様に、仮に不幸な出来事、過去があっても、それを
どんな風に意味づけるからによって、その後の生き方、人生
が変わってくるのだと思います。
アドラーは過去の経験を意味づけることの重要性を
次の様に述べています。
「いかなる経験も、それ自体では成功の原因でも失敗の原因
でもない。自分の経験によって決定されるのではなく、経験
に与える意味によって自らを決定する。意味は状況によって
決定されるのではない。我々が状況に与える意味によって、
自らを決定するのである。」(第一章人生の意味より一部
割愛)
私は、カウンセリングの中で、この過去の意味づけをクライ
エントさんに投げかけることがあります。「本当にそうだっ
たの?」と。
例えば、Aさんの場合、「本当に、大変無様で恥ずかしいこと
だったの?お父さんお母さんは無様で恥ずかしいことって
話していたの?」
それで、クライエントさんは、過去を振り返り、もう一度
その出来事について語りだしたりします。話している中で
自ら振り返り、自ら再度意味づけをし直すこともあります。
“我々が状況に与える意味によって、自らを決定するので
ある。”
この言葉は、なにかと失敗だらけの私に元気と勇気を
与えてくれます。
意味づけを変えれば、未来は変えられる。皆さんは、どんな風に感じてでしょうか。